デイキャンプで焚き火をしながら何か作って食べる時、「ホットサンドを食べたいな~」といつも思っていました。
でも、家にあるホットサンドメーカー(バウルーダブル)は、外側が塗装されており、内側は焦付き防止の為のテフロン加工がなされているもので、これを焚き火の上で直火に当てるにはチョット抵抗が・・・・
一番の憂鬱は、外側はおそらく煤で真っ黒になり、石の上にも置いたりもするのでキズだらけになり塗装もすぐ剥がれてしまうと思われる点です。
煤汚れでキズだらけになったホットサンドメーカーを台所に戻したら、他の家族からクレームが出るのは必定なので、焚き火でのホットサンドは諦めておりました。
目次
パイアイロン「Pie Iron」
それでもどうしても焚き火でホットサンドを作ってみたくて、焚き火・ホットサンドメーカー で色々と調べていると、パイアイロン「Pie Iron」という単語にぶつかりました。
パイアイロン「Pie Iron」とは鋳鉄製のパイを焼くためのクッカーのことで、主に北米地域でキャンプなどの焚き火でホットサンドイッチやパイを作る時に使われているようです。
大きさは、縦124mm×横124mm×高さ49mm、柄の長さ560mm、重さ2kg程で持ち手が長めでザックに入れての持ち運びに少し手こずります。
このパイアイロン「Pie Iron」は、アメリカのRome Industries,ink.の#1760 XL Square Pie Iron で、ヒンジで貝合せにしてパイ生地やパンなどを挟んで焚き火で焼きます。
写真のように完全に分離させることができ,内部はバウルーダブルの様な仕切り等は無く面一なので、小さなフライパン(スキレット)としても使えます。
いつものデイキャンプ地へGO!
林道に入って最初の九十九折でタラの芽を見つけました。
小さく細く頼りないのですが、日当たりが良いせいで葉っぱが大分伸びています。
太さ1cm、長さ20cmくらいのモノを三つ採りました。
パイを焼く時に挟んでみようと思います。
林道の途中に夏になると枯れてしまう小さな沢があるのですが、その沢の少し手前に林道の土手から水が滲み出て水たまりができる所があります。
直径が1m程の小さな水たまりですが一年中水が枯れることが無く、春先(4月末~5月頭)になるとヒキガエルの産卵場になります。
近寄ってよ~く見てみると、すでに卵割が始まって成長しているのが分りますね。自然の神秘!
薪の元の切り出し
沢を渡ると林道の下側の土手は杉林になり、あまり手入れがなされていないようで、風倒木が目立ちます。
薪にできそうな杉の風倒木を見つけたので、枝の部分を切り出そうと思います。
枝の付け根部分で切り落とします。良く乾燥していて簡単に切り落とせました。
直径12~13cm、長さ2m程で切り落としました。長年風雨に晒されてきたので脂っ気が抜けて軽く感じます。
ノコギリで簡単に切れてしまったので、薪割りも簡単にできると思います。
これをいつものように肩に担いでデイキャンプ地へ向かいます。
デイキャンプ地到着
前回この場所でデイキャンプをしたのは三月半ばで、まだ周りに緑は殆んどありませんでした。
改めて見てみると何だかとても寂しい風景ですね~
四月も末になると、木々の葉も日差しを浴びて日に日に緑が濃くなってきます。この時期は正に新緑の季節で、地面にも緑が見えますね。
崩してケルンにしておいたカマドの石もそのままで木っ端の脇から草も生えているので、一ヶ月ちょっとの間誰もここには来ていないようです。
早速カマドを作ってパイを焼く準備をします。
前回使って山側の土手に置いていたポットハンガーがまだ使えそうだったので再利用しようと思います。
焚き火開始
薪割りを終え焚付の枯れ枝集めもできたので、カマドに細目の枯れ枝を敷いてファットウッドを削って火を焚く準備をします。ファットウッドはナイフの峰で削り節状にできるだけ薄く削った方が着火が容易です。
ファイヤースチールをストライクさせて着火します。
一回のストライクで見事に着火しました。今使っているファットウッドが思ったより上質で、チョット日の当たるところに置いておいたらベタベタしました。それだけ脂が染み出てきたということですね。
少しづつ太い枝を投入しながら火を大きくして熾火ができるようにします。
そのついでにケトルでお湯を沸かします。
本日の食材
林道の最初の九十九折付近で採取したタラの芽です。細いのですが生えていた場所が日当たりが良すぎて、ひょろひょろと葉っぱだけ先に伸びた感じでアクが強そうです。
ザックに入れた食材を取り出して愕然としました。
とろけるチーズ・ジャンボフランク・赤、黄のパプリカを忘れて来てしまいました。
持ってきたのは小麦粉・ドライイースト・塩・砂糖・バター・コーヒー・かりんとう・コンビニで買ったジャガリコだけです。
パイの中でとろけるチーズを滴らせるジャンボフランクにかぶり付きたかったのに~
悔やんでも嘆いても仕方ないので、あるものだけでパイを焼くしかありません。
お湯があるので、じゃがりこマッシュポテトを作って、タラの芽を軽く茹でて、かりんとうを挟んでパイを焼いてみようと思います。
何だか無茶苦茶な中身で若干不安を感じます・・・
パイ生地作り
まずは肝心のパイ生地を作ります。
パイ生地と言っても、普通のパンやバノックの生地と同じ要領で作るだけです。
唯一違う点は中力粉を使う点でしょうか。(今回はたまたま家にあった強力粉と薄力粉を60gづつ混ぜたモノを使っています。←これを中力粉というのかどうかわかりませんが・・・)
ビニール袋に中力粉120g・塩3g・砂糖6g・バター10g・ドライイースト3g・沢の水60ccを入れてひたすらコネコネします。
アウトドアで小麦粉を使ってパンやバノックを焼く時、粉に対する水の量は、いつも「粉:水=2:1」でやっています。
塩や砂糖、ドライイースト等はその時々で多少増減させています。要するに適当でいいのです。
ある程度コネコネしているとビニール袋の中でまとまってくるので、きりのいいところで取り出して二つに分けて丸めて置いておきます。
ドライイーストを入れているので、少しは発酵するはずです。
じゃがりこマッシュポテト
外でなにか作って食べる時、調理している間小腹が空くので、じゃがりこにお湯を注いでじゃがりこマッシュポテトにして調理中に食べています。
今回もその予定でいましたが、ある意味メイン食材のジャンボフランクととろけるチーズを忘れてきてしまったので、じゃがりこマッシュポテトをとろけるチーズに見立てて使うことにします。
少し無理があるかな~
チンチンに沸いたお湯をじゃがりこ(期間限定のサラダチキン味)に注いで4~5分蓋をして置いておきます。
*お湯の入れ過ぎに注意!
タラの芽を茹でる
採って一時間も経っていないタラの芽は新鮮すぎてトゲもピンピンで指に刺さり、そのままの状態でパイに挟んで焼くのは厳しいだろうと思ったので、軽く茹でてから挟んで焼くことにします。
椅子として使っている木っ端をまな板の代用として使います。
タラの芽は細いけど長さが20cm以上あるので、パイに挟んで焼ける長さに切ってみます。
鍋系のクッカーを今回は持ってこなかったので、ケトルで茹でることにします。
茹で時間は1~2分で十分です。
このケトルは口が大きくて、こういう使い方をするとき非常に便利です。
キレイな緑色に茹で上がりました。
じゃがりこマッシュポテトと和えて食べると美味しそうですね。
パイアイロン「Pie Iron」にバターをひく
内側にバターをひくために、1~2分火にかけてパイアイロン「Pie Iron」を温めます。
バターが溶ける程度に加熱すれば十分です。
パイアイロン「Pie Iron」が温まったら火から下ろしてバターを投入し、内側にまんべんなく行き渡らせます。
今回はちょっと加熱し過ぎました。
これでようやくパイを焼く準備ができました。あとはパイアイロン「Pie Iron」の内側にパイ生地を敷いて具材を挟んで焼くだけです。
弾けずに上手く焼けるでしょうか?
生地を伸ばして具を入れる
まずバターをひいたパイアイロン「Pie Iron」の内側にパイ生地を敷いて、なるべく均一の厚さになるように全体に伸ばします。
少しくらいはみ出ても後ではみ出た生地は切り落とすので、気にせずに手早く伸ばします。
パイ生地を伸ばせたら、じゃがりこマッシュポテトを上面と下面の両方に塗ります。
このじゃがりこマッシュポテトの塩味がとろけるチーズの塩味の代用です。
次に茹でたタラの芽とかりんとうをこぼれ落ちないように生地の上に載せます。
当初の予定では、とろけるチーズと赤と黄のパプリカに挟まれたジャンボフランクのはずでした・・・悔やんでも悔やみきれません。
ヒンジを組み合わせてパイの具材がこぼれ落ちないよう慎重に上下のパイアイロン「Pie Iron」を貝合わせにします。
貝合わせにすると生地がはみ出てきますが、はみ出ることによって上下の生地が圧着されるので中の具材が弾けて飛び出してしまうことがありません。
この点が普通のホットサンドメーカーとの違いでしょうか・・・。
パイアイロン「Pie Iron」でパイを焼く!
パイ生地のセッティングをしている間に熾火もできたようなので、いよいよパイを焼いてみます。
一旦熾火にかけたら火加減の調整などは行わず、時々パイアイロン「Pie Iron」を開いて見て焼け具合を確認しながら裏表を数回ひっくり返しながら焼いていきます。
しばらく焼いているとはみ出た生地が焦げてきます。こうなればナイフやハサミで容易に切り落とせます。
切り落とした生地は焦げが激しいので、もったいないですがそのまま燃やしてしまいましょう。
パイ焼き上がり
はみ出た生地の切り落としが済んだ時点でパイアイロン「Pie Iron」を開いて焼け具合を確認します。
時間にして12~13分程熾火にかけていたと思います。
*熾火の状態により、焼き時間は増減します。
表面はいい感じで焼けているようです。
一番気になる圧着面ですが、完全に圧着されていて中の具材は全く弾け出てはいません。
半分に切って生地と具材の状態を見てみます。具材に火がとおり、生地にも生焼けはありません。
パイが上手く焼けて気分もあがったし、お湯も沸いているのでコーヒーを点ててみます。
いつもはインスタントで済ませていますが、家で豆を挽いて持ってきました。贅沢に20gもです。
いただきます!
本日のメニューはこれだけです。ただのホットサンドとコーヒーだけにしか見えませんね・・・
でも厚みが3cm以上でボリュームがあり食べごたえがあります。
具材が「とろけるチーズ・ジャンボフランク・赤、黄パプリカ」から「タラの芽・じゃがりこマッシュポテト・かりんとう」に変わってしまいましたが、タラの芽の食感と風味、じゃがりこマッシュポテトの塩味、かりんとうの甘さが凄く良いアクセントになって想像以上の美味しさです!!!
途中でタラの芽が採れたことが非常に良かったのですね~
やっぱりタラの芽は春の山菜の王様ですね!
パイを完食しコーヒーを飲みながらまったりと過ごし、焚き火も小さくなって来たらいつものように現状復帰させて帰ります。
また次回もよろしくお願いいたします。m(_ _;)m
パイアイロン「Pie Iron」の手入れ
パイアイロン「Pie Iron」は鋳鉄製です。
バウルーのような塗装とコーティングがなされているホットサンドメーカーとは異なり、使ったまま放置すると相当厚くシーズニングがされていない限り、恐らく数日で赤錆が発生すると思います。
面倒でも使用後には、お湯とソフトなブラシ又はスポンジで内外の焦げや煤を洗い落とし、洗ったあとはしっかり乾燥させてから薄くサラダオイルを塗って仕舞っておきます。(シーズニングをできるだけ落としたくないので、なるべく洗剤は使わないほうが良いでしょう)
鉄製フライパンと同じ扱いをすれば良いと思います。
パイアイロン「Pie Iron」を焚き火で使う時の参考にしてみてください。
パイ良いですね今度うちもやってみます!
コメントありがとうございます。
今回のパイはタラの芽のおかげで結果的に大成功でしたが、現地に行くことで頭がいっぱいで肝心の具材を忘れてしまいました。
アウトドアでのパイはとても美味しいです!
クッカー等ギア関係の忘れ物は殆ど無いのですが、食材を忘れると精神的ダメージが大きいことが今回よくわかりました。